茨城県天心記念五浦美術館、茨城大学五浦美術文化研究所、横山大観記念館

近代日本画確立への苦闘の地

(知への小さな旅;トップ→目次→人物→芸術家→)

芸術家へ  目次へ

 茨城・福島県境に突き出した小さな岬の突端が五浦(いづら)で。その海岸は丘陵が海に断崖となって落ち込み景色がよい。ここには近代日本のリーダー・岡倉天心(18621913)関係の旧跡や美術館がある。

 例えば天心が建てた六角堂や旧天心邸(写真参照)、天心の墓・記念碑・天心記念館・日本美術院跡などと、天心ゆかりの建造物などが残っている。これらの旧跡は現在、「茨城大学五浦美術文化研究所」として管理され一般公開されている。

 天心は東京美術学校校長を追われてから、日本美術院を設立して近代日本画を確立しようと努力したが、必ずしも世間に受け入れられなかった。そのため精神の安らぎを求めて1903年、五浦に土地と家屋を購入し、同5年には天心邸や六角堂を建てた。翌6年には日本美術院絵画研究所を縮小して当地へ移転している。

 それに伴い横山大観・下村観山・菱田春草・木村武山なども移住した。当時、ここまで来るには上野から汽車で5時間以上掛かったから、新聞は美術院の都落ちとはやし立てたそうだ。しかし、彼らはここで日夜、新しい日本画の制作に励み、これが後の開花への揺らん期となった。その間食べ物にも事欠く厳しい有様だったと伝えられる。

 このような由緒ある土地に「茨城県天心記念五浦美術館」が建てられた。館内には天心記念室があり、天心の生涯や海外活動も含めた美術界での幅広い活動を紹介し、遺稿や遺品を展示している。また大型スクリーンでは天心の活動を紹介している。また彼と行を共にした五浦の画家たちの画も、季節に合わせたものが公開されている。

 フェロノサという優れた人との出会いが彼の活躍の契機となったとしても、よく明治初期に海外でここまで活躍できたものだと感心する。彼が横浜居留地の出身で英語が巧みだったことも幸いしたようだ。

 天心亡きあと、大観は日本美術院を東京で再興し、観山と共に運営の中核となって活躍した。なお春草はその時、すでに故人だった。その後、大観と観山は力作を次々に発表し日本画壇での地位を確かなものとした。また日本美術院も新進画家の参加が続き文展を凌ぐ勢いになった。

 最も長生きした大観(18681958)は水戸出身で、弘道館の戦いの最中、身重の母親が避難していた竹やぶの中で生れたと伝えられる。子供の時に東京へ移住し、やがて東京美術学校に入学し、天心と出会う。

 41才の時に東京・上野の不忍池(しのばずのいけ)のそばに自宅を建て制作に励んだ。富士山を好んで描き気品のある作品を多く残している。当時の家は空襲で焼けてしまい、戦後彼の最晩年に再建された家が現在「横山大観記念館」として公開されている。

 ここには彼の作品や画稿、遺品やスケッチ帳などを展示され、その生涯を紹介している。また晩年に使われた画室や客間の情景が再現されている。当館の敷地は今ではビルの谷間になってしまい、日当たりがすっかり悪くなってしまったが、その庭は大観が一木一草まで好みに合わせて造らせたものという。

 なお補足だが、フェロノサや天心の活躍は日米両国が一応良好な関係にあった時代だから出来た事柄だ。一方で両国が戦かを交えた時代もあった。その時、五浦美術館の北西約150mにある五浦海岸一帯からは米国へ向けて気球爆弾(俗称 風船爆弾)が多数放流された。そこには、わすれじ平和の碑を建っている。

芸術家へ     文書の先頭

(作成日: 00/04/13、 更新日:03/03/10 )

 

(施設情報参考)名称_住所_電話番号_駅からの概算路線距離(駅からの概略方位と直線距離)・所要時間・バス_展示規模_対象_開館時間(受付終了時刻)_休館日_備考_{施設情報確認日}開館時間と休館日はよく変るし臨時休館もある。事前確認が賢明

 

茨城大学五浦美術文化研究所_茨城県北茨城市大津町五浦 727-2_TEL 029-228-8425(茨城大学社会連携センター事業推進課 問合せ時間 平日の8:30-17:15)0293-46-0766_

JR常磐線大津港駅から4.7km(65deg.E 2.6km)駅前から平日だけ運行の市内循環バスかタクシー利用_小_大人_

(49)  8:30-17:30(17:00)

(10,2,3) 8:30-17:00(16:30)

(111) 8:30-16:30(16:00)_

月曜日(月曜日が祝日に当たれば開館し、翌日休館)12/291/3_{17/06/02}

 

茨城県天心記念五浦美術館_茨城県北茨城市大津町椿 2083_TEL 0293-46-5311_

a)JR常磐線大津港駅から2.6km(70deg.E 2.2km)タクシーあり。

b)大津港駅から五浦行きの北茨城市の巡回バスが平日だけ運行されている。その終点で降り、そこから天心遺跡記念公園内を散策しながら徒歩約1kmもよい_中_大人_

9:30-17:00(16:30)_

月曜日(月曜日が祝・振替休日に当れば開館し、翌日に休館)12/291/1(なお振替休館日に関しては変動するので要確認)_{17/06/02} 

 

公益財団法人 横山大観記念館_東京都台東区池之端 1-4-24_ TEL 03-3821-1017_

a)東京メトロ千代田線湯島駅1番出口から0.6km(20deg.W0.5km)徒歩8分、

b)JR上野駅や御徒町駅からは徒歩で15分程度_

駐車場 なし、近隣の上野駅地下駐車場などの利用_小_大人_

10:00-16:00(15:30)(なお展示最終日は15:30で閉館)_

原則、月曜日から水曜日、

梅雨期、夏期(7/248/31)、冬季(12/181/10)、正確には要確認。

また台風や大雪などの場合にも臨時休館があるので注意。_{17/02/15}

 

文書の先頭