福島県立博物館

外来者に分割支配され続けた広い県

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 福島県は広さでは岩手県に次ぐ大県だ。県域は太平洋岸の浜通り、東北新幹線沿いの中通り、及び会津地方に分けられる。各地域は互いに山地で区切られ、その気候風土はずい分異なる。浜通りは比較的温和だが、会津は降雪が多く寒暖の差のある日本海型盆地気候を示す。中通りは内陸性で寒いが、降雪量は会津よりは少ない。

 中通りと浜通りには幹線鉄道が南北に通るが、相互を結ぶ横断線は貧弱だ。福島県はこのように地域の統一性がやや弱い県だから、その地域性や風俗習慣は多様だ。本県西部の会津若松市にある「福島県立博物館」は、この複雑な県の住民生活に焦点を当て、さらに自然・考古・歴史・美術コーナーを加えた構成になっている。

 5世紀の初め、浜通りの勿来(なこそ)と中通りの白河に蝦夷防衛のための関所が設置された。そのため本県への大和政権勢力の進出は比較的早く陸奥国へ向かう通路になった。平安末期には奥州藤原氏の支配下にあったので、藤原氏滅亡後は多数の関東武士が支配者として県内に領地を与えられた。

 その後、南北朝や室町時代の動乱によって彼らは没落し、蘆名氏と伊達氏だけが生残った。両者の戦いでは米沢から攻め込んだ伊達氏が勝ったが、その伊達氏も秀吉に屈伏して国替えになった。そこへ近江豪族の蒲生氏郷が92万石の大大名として封じられ県内の大半を支配した。彼の没後は上杉氏、さらに加藤氏と領主は変わるが、いずれも県外からやってきた人たちだった。

 江戸時代、県内は多数の大名領・旗本領・天領などに分割支配され、しかも領主は度々変わったので政治的統一性は形成されなかった。その中で最大の会津藩だけは御家門でもあり、国替もなかったから独自の文化的・精神的風土が育った。

 農学では1684年に佐瀬与次右衛門が会津農書という大部の農業全集をまとめ、一般への普及に努めている。町方の酒造業や漆工業は蒲生氏郷が彼の故郷で先進地域の近江から商人や職人を連れてきて基礎を築いた。それらは会津の伝統産業として今日まで続いている。

 しかし、会津藩による農民の収奪は過酷で、一揆騒動は何回も起こっている。会津戦争前後には会津寛延一揆や会津世直し一揆が起きた。県内はこのような社会政治情勢下にあったから、明治になっても民権運動が盛んで、1882年(明治15)には三島県令に反対して有名な福島事件が起きた。

 丁度この年に政府の手で工事中だった安積(あさか)疎水が完成した。この疎水は猪苗代湖の水を郡山周辺の農耕地や原野に導水し、周辺一帯の干害を解消し、合わせて新田開発を行うためにオランダ人技術者ファン・ドールン設計で進められた。それ以後も疎水は順次拡張されて発電にも利用され、やがて郡山の工業用水や水道にも使われるようになった。

 なお安積疎水を作者は誤ってアヅミと読んでいたが、ビジターのご指摘で正しくはアサカだった。そういえば合唱コンクールの名門校の名もアサカだったと今ごろ思い出した。東京に日暮里という地名があるが、地方の人がヒグレサトと読んでいたのと同類の誤りで日本語は本当に難しいと思う。もっとも日暮里に関しては昔、日暮(ひぐら)しの里と呼ばれていた時代もあったそうだ。

浜通りでは幕末以降、常磐炭田が大々的に開発されて首都圏へ多量の石炭を供給していた。石炭産業が消滅した現代でも、当県は只見川水系などの電源開発や、大規模火力及び原子力発電所の立地によって首都圏のエネルギー供給地として機能している。館内に展示してある水力発電所の水車はその事実を象徴的に表しているようだ。

 さらに館内には以前は貧弱だった横断路を結んでいた大切な交通手段のバスを、それも戦時中のガソリン欠乏時代に走った木炭自動車のレプリカが陳列されている。それは若い世代には想像も付かない苦しい時代の名残として懐かしかった。また民俗コーナーには子供と民俗風習の関係をテーマとした特徴のある展示があり、中でも会津唐人凧(舌出し凧)は珍しく印象に残った。

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(作成日: 00/06/28、 更新日: 04/12/23)

 

(施設情報参考)名称_住所_電話番号_駅からの概算路線距離(駅からの概略方位と直線距離)・所要時間・バス_展示規模_対象_開館時間(受付終了時刻)_休館日_備考_{情報再確認日}開閉館時間と休館日はよく変るし臨時休館もある。事前確認が賢明

 

福島県立博物館_福島県会津若松市城東町 1-25_TEL 0242-28-6000_

a)  JR磐越西線会津若松駅から約3.0km(10deg.E 2.2km),路線バス鶴ヶ城経由飯盛山行きで「県立博物館前」下車、

b)  または市内循環バス1コースで「県立病院前」下車徒歩5分、

c)  あるいはまちなか周遊バスハイカラさんで「鶴ヶ城三の丸口」下車すぐ_大_大人子供_

9:30-17:00(16:30)_

月曜日(祝日や振替休日に当たる場合は開館し、翌火曜日休館)、祝日の翌日(ただし土・日曜日に当たる場合は開館)、

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館内清掃などの臨休(16年度の例6/2112/13)_(GWとお盆の期間は無休)_{17/02/15}