富士市立博物館・歴史民俗資料館

水を制し水を利用して発展した町

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参照(製紙A)  参照(プチャーチンA)  参照(プチャーチンC)

 「田児の浦ゆうち出でて見れば真白にぞ不尽の高根に雪はふりける」、万葉歌人・山部赤人が詠んだ田子の浦は、現在の蒲原町から富士市の海岸に当たる。当地は富士山の南側にあるので岳南地方と呼ばれ、富士山の地下伏流が湧出する所で、湖こそ無いものの地下水の豊富な土地柄だ。

 江戸時代、富士川流域ではミツマタで作る駿河半紙の生産が盛んに行われたが、明治中期以降、この伝統から富士市一帯には和紙工場が立地し、ほどなく洋紙の工場も進出してきた。今では日本一の製紙工業地帯に発展し、まさに白煙たなびく田子の浦といった風景になっている。

 これも水や木材を多量に使う製紙業が、富士山の恵みを大いに活用した形だったが、その反面ヘドロの垂れ流しによって海洋汚染が問題になった時期もあった。現在は輸入パルプや古紙が製紙原料になっている。

 「富士市立博物館」は郷土館として郷土の歴史を紹介すると共に、地場産業の製紙業について詳しく説明している。地の利を活かした産業とはいえ、紙の生産にも色々なう余曲折があり今日に至った。特に戦時中は不要不急業種と見なされ苦しい道を歩んだ。

 けれども、この地域一帯がここまで発展しえたのも先人の治水努力のお陰といってもいいだろう。現在は市の西境を海へ直流する富士川は昔、当地付近で三角州を形成し、乱流して駿河湾に注いでいた。

 古来、当地は吉原湊や東海道の吉原宿として賑わったが、再三起こった水害に津波の被害も加わり、宿場は何回も移転を強いられた。また富士山の地下水が方々に湧出し、当地の周辺一帯は水はけの悪い広大な湿地になっていた。この湿地での水稲栽培は大変な労苦を伴い、収穫も安定しなかったと伝えられる。

 そのため、当館では富士川の治水や低湿地の排水工事の問題も扱っている。富士川が今日の流路に落ち着いたのは、江戸初期に当地豪族・古郡氏の三代53年にわたる辛苦の結果だった。そして低湿地の排水工事は近代まで続けられた。

 併設の歴史民俗資料館には、当地の昔の生業が実物とパネルで分かりやすく紹介されている。例えばヤマガの集落、くらしの中の茶、タバショの暮らし、ハマのくらし、ブッコウと行商などだ。中でも腰まで水に漬かって田植えをするドブッタの田植えは特に印象深い。

 なおこのような過酷な作業は水郷地帯では、以前はよく行なわれていた。例えば信濃川と阿賀野川の河口に近い亀田郷の例はよく知られる。そこでは戦後に配水ポンプが整備されるまで、その状態が続いた。みぞおちまで泥に漬かって行なう亀田郷の田植えや稲刈りの様子は映像記録として残されている。

 なお富士川といえば、源平の戦いで頼朝が始めて勝機をつかんだ戦いだが、当館にはその展示も若干ある。さらに当館にはもう一つの歴史的遺物として、ディアナ号の引き上げられたイカリの鎖が展示されている。

 ロシアのプチャーチン提督座乗の同艦は、1854年に日露通好条約締結のため下田湾に停泊中、津波に遭遇して大破した。そして修理のため戸田(へだ)湾へ曳航中に流されて当地沖で沈没した。鎖国下ではあったが、田子の浦漁民総出の救助活動で乗組員全員が救助された。先年海底の同艦が発見され錨を引き上げたが、当館の鎖はその一部だ。

 当館には野外施設のふるさと村もあって、陣屋に使われた豪農の屋敷、伊藤博文ゆかりの石倉、大正期の洋館、或いは明治初期に学校として使われた入り口に漆喰こて絵のある土蔵などが保存されている。このように当館はなかなか個性的な内容を持った施設だと思う。

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(作成日: 00/09/11、 更新日: )

 

(施設情報参考)名称_住所_電話番号_駅からの概算路線距離(駅からの概略方位と直線距離)・所要時間・バス_展示規模_対象_開館時間(受付終了時刻)_休館日_備考_{施設情報確認日}開館時間と休館日はよく変るし臨時休館もある。事前確認が賢明

 

富士市立博物館・(分館)歴史民俗資料館_(本館)静岡県富士市伝法 66-2_TEL 0545-21-3380_分館は本館から坂を上った近く

a)JR東海道新幹線新富士駅、あるいは東海道線吉原駅や富士駅からいずれも約 6.5km(富士駅からN35deg.E 4.6km) 各駅からタクシー約20分、

b)JR東海道線吉原駅から吉原中央駅(バスセンター)までバスで行き、そこの3番線に乗り換えて「広見団地入口」下車徒歩3分、

c)東名ハイウェイバス「東名富士」下車徒歩16

富士市内を運行するバスと鉄道駅との連絡は外来者にはかなり分かりにくいので、詳細は博物館に要照会_中_大人子供_

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駐車場あり_

9:00-17:00(410)

9:00-16:30(113)_

月曜日(祝日は開館)、祝日の翌日、12/281/4、資料くん蒸期間(6月下旬ごろ)_{17/03/10}