弘前市立観光館山車展示館、弘前市立郷土文学館など、弘前市立博物館、弘前城史料館、藤田記念庭園

米山や大根山にも時代の波が

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関連(祭り)  参照(津軽藩B) 

 桜で知られる弘前城、その追手(おうて)門広場には弘前と津軽一円の観光・文化拠点としての弘前市立観光館がある。そこに「山車展示館」が併設され、かって弘前の町内を練り歩いた山車の大部分が修復保存されている。

 津軽総鎮守・弘前八幡宮の祭礼は1682年に始まり、その際、みこしに従う山車の運行も始まった。山車は京大阪や江戸の祭りの影響を受け、京都から導入されたそうで、なかなか個性的な人形屋台だ。

 祭礼と山車の運行は津軽藩の費用で行われたから、凶作や藩財政の都合で開催間隔が伸びたり、内容が簡略化されたり、山車の運行が取止めになったりした。1778年ごろには山車が華やかになり、見物人は近郷近在ばかりでなく遠く秋田や道南の松前からもやって来たという。反対に1837年や1869年には凶作で取止めになっている。

 各町内から出された山車には芸能や物語などから題材を採った道明寺山・紅葉狩山・猩々山・黄石公張良山・布袋山といった人形や白馬を乗せた上品なものだ。さらに米俵を積んだ上に狐を乗せた米山や、葉付きの大きな二また大根を乗せた大根山もあって珍しい。かつては屋台上に雪の山の形を盆景のように載せた雪山など、全部で9台あったそうだが、そのうち7台が修復されている。

 だが明治になると青森県が成立し、県の中心が青森へ移った結果、弘前の経済的地盤沈下が起こり、この行事は1882年(明治15年)を最後として途絶えた。その後、時折山車が姿を現すことはあったが定期的な運行はなくなった。

 今では弘前の夏の行事といえば、ねぷたまつりが知られている。古典的なねふたを藩主の観覧に供した記録はすでに18世紀前半にあるが、山車とねぷたの運行には色々共通点があるようで、ねぷたは山車の発展形態ともいわれる。

 館内にはねぷた出陣の際に打ち鳴らす大きな太鼓が保管されている。それは津軽強情張(つがるごうじょうばり)大太鼓と名付けられているが、津軽人の気風を表しているようで面白い。太鼓の直径は4mもあり50人掛かりで引くそうだ。

 当館と同じ敷地内には「弘前市立郷土文学館・旧弘前市立図書館・旧東奥義塾外人教師館」などがある。赤い丸屋根に白しっくい壁のハイカラな旧図書館(写真参照)と、藩校稽古館の流れを汲む東奥義塾の外人教師館は、いずれも明治30年代の保存建築物で、内部を参観できる。また今は取り壊された古い建物のミニチュア建築物群も隣接地に造られている。

 文学館は石坂洋次郎を中心に、佐藤紅緑(こうろく)や太宰治などの郷土出身や郷土に関係のあった作家の文学資料を展示している。さらに津軽弁の持つ独特の雰囲気で表現されたジャゴ詩コといわれる方言詩を紹介する珍しいコーナーもあって興味深い。

 広場から程近い弘前城三の丸には「弘前市立博物館」がある。当館は「知と美の調和」を基調にして、場所柄、津軽藩歴代藩主の紹介と藩政の資料を中心に、その間に培われた文学や美術工芸の作品などを収蔵し、順次展示している。

 津軽藩の祖先は現在の岩手県久慈市出身で、元来は南部氏の被官だったが、津軽に移り住んでからは着々と勢力を蓄え、南部方の勢力を駆逐した。藩祖の津軽為信の時代に津軽統一を果たし、1589年に豊臣平和令に従って秀吉から領国を安堵された。南部側は元被官のたわ言と反論したが、すでに遅かった。

それ以降、津軽藩は弘前城築城と城下町の建設・藩制の整備・新田開発・凶作対策・藩政改革・農村復興策・藩校の開設・北方警備・戊辰戦争などと、他の外様藩と同じような歴史をたどって明治維新を迎えた。だが津軽藩は隣りの盛岡藩南部氏に比べると、肝心の時の立ち回りの巧みさが目に付く。

それは機を見るに敏なのか、日本海海運のおかげで情報の入手が速いのか、恐らく両方なのだろうが、事に当たって再三有利な立場を得ていた。すなわち津軽藩成立時の問題、両藩の境界争い、藩主の官位争い、相馬大作事件、戊辰戦争時の立場など多くの場面でうまく振舞った。

 津軽藩は本州の最北端にあるのに対馬暖流によって米作を主にすることができた。その表高は10万石だが、実高26万石の余裕からか、江戸中期以降には文芸活動も盛んだったようだ。それでも大小の冷害は数年おきにはやって来た。

 戊辰戦争の時は他藩同様、その帰すうの最終決定まで時間が掛かったが、最終的には官軍に付き賊軍となった南部藩と交戦した。次いで五稜郭の榎本軍と戦って最初はよい所なしの有様だったが、政府軍側が増強されてからは勇戦している。しかしこの戦いの経済的負担は町人階級に重くのしかかった。

 そして弘前城についても簡単に触れておこう。この城は平山城で1611年に完成した。史跡指定面積は約49haあり、10万石規模の藩としては城地が大きく広々としている。現在、三つの櫓と五箇所の門、及び三層の天守が残り、いずれも重要文化財に指定されている。幕末に再建された天守は「弘前城史料館」になっている。

 この天主が建っている石垣には近年膨らみが発生し、崩壊の危険性が認められた。そのため天主建物を曳屋して近く安定した場所に移動した上で、石垣を解体し修理工事を現在行い、石垣の復旧後に元の位置へ帰すことになっている。この天主の曳屋・石垣解体工事は明治時代にも行われた。

 また城の周りには内濠・中濠・外濠がよく残り、特に西濠に植えられた桜のアーチは花の季節には見事な景観を見せる。城内の桜は明治末から市民の寄付によって植えられたもので、約2600本余もあるそうだ。城の周囲一帯には江戸時代から近代までの津軽の文化遺産が色々あり、関心のある人には興味深いと思われる。

 その一つ「藤田記念庭園」は岩木山を借景にした見事な庭園だ。この庭園は弘前出身ので日本商工会議所初代会頭になった藤田健一の別邸で、広い日本庭園の中に大正ロマンを感じる洋館や和館(いずれも国指定登録有形文化財)と考古館がある。

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(作成日: 02/04/05、 更新日: 09/12/15)

 

(施設情報参考)名称_住所_電話番号_駅からの概算路線距離(駅からの概略方位と直線距離)・所要時間・バス_展示規模_対象_開館時間(受付終了時刻)_休館日_備考_{施設情報確認日}開閉館時間と休館日はよく変るし臨時休館もある。事前確認が賢明

 

弘前市立観光館・山車展示館_青森県弘前市下白銀町 2-1 追手門広場内_TEL 0172-37-5501(市立観光館)_

a)JR奥羽本線弘前駅から2.4km(78deg.W 1.7km)徒歩27分、駅前6番弘南バス乗り場から駒越線や茂森新町線を利用し「市役所前公園入口」下車徒歩 5分、

b)または弘前駅から市内土手町循環100円バスを利用し市役所前公園入口下車でもよい_

地下駐車場 有料 普通車100台_中_大人子供_

9:00-18:00_12/291/3_{17/05/22}

 

弘前市立郷土文学館_青森県弘前市下白銀町 2-1 追手門広場内_TEL 0172-37-5505_

駅からの距離と経路は同上_

地下駐車場 有料 普通車100台_中_大人_

9:00-17:00(16:30)_

年末年始(12/291/3)、展示替期間(1/4­1/11)_{17/05/22}

 

旧弘前市立図書館_青森県弘前市下白銀町 2-1 追手門広場内_TEL 0172-37-5501(観光館)0172-82-1642(市文化財課)0172-35-1111(市役所生涯学習課)_駅からの距離と経路は同上_小_大人_駐車場 同上利用

9:00-17:00_12/291/3_{17/05/22}

 

旧東奥義塾外国人教師館__青森県弘前市下白銀町 2-1 追手門広場内__TEL 0172-37-5501(市立観光館)_

駅からの距離と経路は同上__小_大人_駐車場 同上利用

9:00-18:00_無休_

喫茶室あり_{16/11/30}

 

弘前市立博物館_青森県弘前市大字下白銀町 1-6  弘前公園内_TEL 0172-35-0700_

JR奥羽本線弘前駅から2.4km(74deg.W 2.0km)徒歩31分、上記バスで「市役所前公園入り口」下車徒歩 5分、タクシーあり_中_大人_

9:30-16:30_

3月曜日(祝・休日に当れば開館し、直後の平日休館。ただし特別企画展開催中は無休)、展示替え期間_{17/05/22}_

 

 

弘前城史料館(弘前城天主)_青森県弘前市大字下白銀1番地1 弘前公園内_TEL 0172-33-8733(弘前市みどりの協会)_

JR奥羽本線弘前駅から2.7km(75deg.W 1.9km)徒歩36分、上記バスで「市役所前公園入り口」下車徒歩8_

駐車場 なし__大人_

9:00-17:00_

11/243/31の月曜日(祝日に当れば開館)、祝日の翌平日、12/291/3_{16/12/07}

 

藤田記念庭園_青森県弘前市大字上白銀町8-1_TEL (4/1011/23) 0172-37-5525(庭園事務所、冬季間は閉鎖)(11/2403/31)0172-33-8733(弘前市みどりの協会)_

JR奥羽本線弘前駅から2.4km(80degs.  2,1km)、上記のバスで「市役所前公園入り口」下車しバス道路を西へ約250m徒歩3_

駐車場 あり 普通車60__ 大人_

9:00-17:00(16:30) (なお桜祭りの期間は9:00-21:00(20:30))_

通常営業期間は4/1011/23で、その間は無休、

原則11/243/31は冬季開園となり高台部と洋館のみ、ただし開園日は毎年の積雪状態により変わる。ただし洋館は通年開館_

喫茶室あり_{17/07/07}_考古館は改修のため休館中

 

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