史跡根城 八戸市博物館 櫛引八幡宮国宝館

工業都市に残る中世の城跡

 

(知への小さな旅;トップ→建造物→中世→)

  中世へ  目次へ

 

  工業と漁業の盛んな八戸市。その中心部を流れる馬淵川南岸の段丘上に中世の城郭跡がある。すなわち国指定史跡の八戸根城である。舟運の便にも恵まれた位置にあるこの城は、南部氏傍流の南部師行(もろゆき ?1338)が1334年に築いたとされる。

 

 彼は後醍醐天皇の建武政権によって1334年に陸奥守兼鎮守府将軍に任ぜられた北畠顕家の目代(もくだい 国守の代理として国務を代行する人、国代ともいう)として糠部郡(ぬかのぶのこおり 岩手県北部と青森県東部の広い領域で、馬産地として当時戦略上重要な土地だった。)に赴任して根城を築いた。城名は北奥羽を治める要の意を込めて名付けたといわれる。

 

 事実、彼は根城を拠点にして、弟の政長と共に旧北条方の抵抗勢力と戦い、着々と南朝方の勢力を広げていった。だが程なく建武政権は崩壊し、南北朝争乱の時代になった。彼は顕家に従う南朝方の有力武将として陸奥国内で奮戦している。

 

 1338年、和泉国境浦石津(現在の堺市一帯)で北朝方の中心勢力との決戦に臨んだ。そこで北朝方の高師直の軍勢と戦って破れ、顕家と共に戦死した(石津合戦)。この戦いに際し彼は形勢不利を承知の上で、後事を政長に託して顕家の片腕として遠征し南朝に殉じたという。

 

 師行亡き後、政長とその子孫・根城南部氏は300年近く根城を保ったが、ずっと南朝方に属していたため次第に弱体化した。室町から戦国時代になると、かつて北条氏側に属していたため零落していた本家筋の三戸南部氏(後の盛岡南部氏)の勢力が復活した。

 

 さらに豊臣政権では三戸の南部信直が秀吉から領地安堵の朱印状を与えられた。そのため根城南部氏は三戸南部氏に臣従することになった。やがて1627年には北上山地の小盆地、遠野(現在の岩手県遠野市)へ移封され、根城は廃城になった。

 

 このような経緯をたどった根城は、標高約20mの段丘上の平坦地に築かれた平城で海にも近い。根城は徳川初期に廃棄されたため、中世城郭の遺構がよく残っている点で貴重な存在であり、城跡は19nejyoh178年度から11年間発掘調査が行われ、その全貌が次第に明らかになった。

 

根城には8つの郭と、堀や土塁で構成されている。城跡には掘立柱の建物やその他建造物が多数確認された。それらは16回も大幅な建て直しが行われ、次第に大規模な城郭が形成されていった。中でも安土桃山時代の第16期の跡が最も良く残っているという。

 

nejyoh2_そこで八戸市は第16期の本丸建物跡の発掘調査結果に基にして主殿とその他建造物を復元した(写真1)。これによって在りし日の本丸の姿が部分的ながらも見られるようになったが、常御殿と奥御殿はまだ復元されていない。中館など本丸以外の郭は公園化され広々とした緑地になっている(写真2)

 

 なお根城跡に隣接して「八戸市博物館」がある。館内には当地の考古・歴史・民俗・無形資料などが紹介されている。根城関係の展示もあるし、また市内の風張(かざはり)遺跡から出土した縄文後期の合掌土偶(国宝)もよく知られている。

 

当地は夏の冷風(ヤマセ)によって度々不作が発生し飢饉が起こった。中でも天明の大凶作(1783年)では八戸藩領民の半数が餓死と病気で死亡したという。その惨状を彫り込んだ「餓死万霊等供養塔」が残っており、その説明もある。

 

 当館から国道104号線を南西方向へ約3.4kmの所に櫛引(くしひき)八幡宮が鎮座している。この八幡宮は南部氏初代光行が故郷の甲州から勧請し、1222年に社殿を造営してから代々が尊崇してきた。

 

その「櫛引八幡宮国宝館」には南部氏が奉納した見事な国宝の鎧などがあり一見に値する。また江戸前期の社殿様式で造営された旧拝殿や本殿などの社殿は重要文化財に指定されている。境内は老杉が茂り荘厳な雰囲気に保たれている。

 

なお根城から1kmほど南には根城古墳群がある。これらの古墳は太平洋沿岸最北の古墳群とされ、古代から交易に有利な土地を領して勢力を誇った豪族が築いた多数の円墳が残り、多数の貴重な出土品が出土した。

 

中世へ  文章の先頭へ

(作成日: 10/11/06、 更新日: )

 

施設情報参考)名称_住所_電話番号_駅からの概算路線距離(駅からの概略方位と直線距離)・所要時間・バス_展示規模_対象_開館時間(受付終了時刻)_休館日_備考_{施設情報確認日}開閉館時間と休館日はよく変るし臨時休館もある。事前確認が賢明

 

史跡根城_青森県八戸市大字根城字根城47_TEL 0178-41-1726_

JR東北新幹線・東北本線八戸駅から3.5km(S84degsE 2.5km)、八戸駅前から南部バス・市営

バスの司法センター経由で約15分「根城・博物館前」下車、タクシーあり_大人子供_

9:00-17:00(16:30)_

月曜日(ただし第一月曜日と祝日に当れば開館する)

祝日の翌日(土・日曜日に当れば開館する)、館内整理のため月末休館の場合あり_

12/271/4_八戸市博物館と根城は隣接した敷地内にある_{17/04/30}

 

八戸市博物館_青森県八戸市大字根城字東構35-1_TEL 0178-44-8111_

JR東北新幹線・東北本線八戸駅から3.8km(S88degs.E  2.8km)、八戸駅前から南部バス・市営バスの司法センター経由で約15分「根城・博物館前」下車、タクシーあり_中_大人子供_

9:00-17:00(16:30)_

月曜日(ただし第一月曜日と祝日に当れば開館する)

祝日の翌日(土・日曜日に当れば開館する)

12/271/4

館内整理のため月末休館の場合あり_{17/04/30}

 

櫛引八幡宮国宝館_青森県八戸市八幡字八幡丁3_TEL 0178-27-3053_

JR東北新幹線・東北本線八戸駅から3.5km(S9degs.E  2.1km)南部バス司法センター前・八幡経由で「神社前」下車、駅からタクシーで約10分_

駐車場 あり_小_大人子供_

9:00-17:00_無休_{17/04/30}

 

文章の先頭へ