青函連絡船メモリアルシップ八甲田丸

母港で安らぐ姉妹の連絡船

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 本州と北海道を結ぶかっての花形航路・青函鉄道連絡船、それは1988年(昭和63年)の青函トンネルの完成による津軽海峡線の開通によって、その80年に及ぶ歴史を閉じた。

 連絡船の起点だった青森港と函館港の旧鉄道桟橋、そこには連絡船が一隻ずつメモリアルシップとして係留され、船内は見学施設として公開されている。青森港の船は八甲田丸(写真参照)、函館港は摩周丸だ。

 「青函連絡船メモリアルシップ八甲田丸」では、ブリッジ・航海甲板・煙突・遊歩甲板・車両甲板・機関室など、船内の主要部分が見学できる。そこには八甲田丸(5,383トン)で使われた品々や、青函航路とそこで活躍した歴代連絡船の資料が展示され、その歴史を映像やパネルで紹介している。

 この船は客載貨車航送船という特殊な船だったから、車両甲板にはディーゼル特急車(キハ82)や郵便車(スユニ50)、ディーゼル機関車(DD16)や貨車などが格納保存されている。大きな鉄道車両を搭載するため、1,600馬力のディーゼルエンジンを8基を横に並べて、室高を低くした機関室も見逃せない。ブリッジ・機関室・車両甲板などはいずれも船が退役した今だからこそ見られる所だ。

 青函航路は郵便物輸送のため、開拓使が1872(明治5年)に開設し、翌73年から一般の運送も始められた。鉄道連絡船は函館から北海道中央部への鉄道路線が開通した後の1908(明治41年)に開設されたが、船内にレールを敷いて貨車ごと運ぶ貨車航送船の就航は1925(大正14年)に始まった。

 営業距離113キロの青函航路は、旅客輸送と石炭や農産物輸送の大動脈として年々発展し、1973年にそのピークを迎えた。しかし、その間の推移は決して順風満帆ではなかった。

 すなわち、1945年7月から8月にかけて、米海軍のグラマン艦上戦闘機300機の2日間にわたる執拗な攻撃を受けて沈没と座礁で12隻が失われた。その結果、乗客乗員429人が亡くなり、この時点で連絡船はほぼ全滅してしまった。

 また1954年には、15号台風に急襲され、乗客を乗せて出港していた洞爺丸と、函館港内に停泊していた4隻が沈没あるいは転覆した。事故の犠牲者は1,430人に上り、助かった人は202人に過ぎなかった。これは世界海難史上指折りの大事故であり、青函トンネル着工の機運を一挙に高めた。

 やがて石炭輸送も減少し、航空機に旅客を奪われた青函航路は津軽海峡線の開通によって役目を終えた。80年間の運航回数は72万回、輸送人員1億6千万人、輸送貨物は2億5千万トンに上ったと記録されている。

 廃止当時に運航していた7隻は見学施設や海上ホテル、あるいは地中海のフェリーや観光船に変身した。中には嫁入り先が見つからず一時係留されたり、所有者が転々と変わるなど、姉妹船の運命も人間のそれと同じで色々だ。

 メモリアルシップとして母港で公開された八甲田丸と摩周丸は一見幸運な安住先を得たように思えるが、これらも青函航路の記憶が消えてゆくと共に入館者が減少して、運営経費の赤字が年々累積して抜本的な対策を迫られているという。

 青函連絡船は日本の大動脈を長らく担った貴重な文化遺産だ。特に八甲田丸は1964年から3年間に新造された津軽丸型客貨船7隻の中で、船内の様子がもっとも原形に近い形で残っているそうだ。また歴代連絡船55隻の中で最長の現役期間237ヶ月を記録し、青森発の最終航行を務めた船だった。

将来は戦艦三笠のように陸に固定してでも保存すべき記念物と思われる。多額の保存費用をなんとか工面して大切に保存し、子供たちの学習に役立てたいものだ。船内に保存している鉄道車両も今となれば、それなりに貴重な産業遺産である。

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(作成日: 02/03/27、 更新日: )

 

(施設情報参考)名称_住所_電話番号_駅からの概算路線距離(駅からの概略方位と直線距離)・所要時間・バス_展示規模_対象_開館時間(受付終了時刻)_休館日_備考_{施設情報確認日}開閉館時間と休館日はよく変るし臨時休館もある。事前確認が賢明

 

青函連絡船メモリアルシップ 八甲田丸_青森市柳川 1-112-15地先_TEL 017-735-8150_

JR・青い森鉄道青森駅から0.5km(30deg. 0.4km)徒歩7分_中_大人子供_

(4/110/31)9:00-19:00(18:00

(11/1/3/31)9:00-17:00(16:30)_

12/311/1

冬季(11/13/31)の月曜日(月曜日が祝日に当たれば営業し、翌日休み)

3月第二週の月曜日〜金曜日(船体検査のため)_

410月は無休、なお開館時間や開館日には変更があるので要確認_{16/09/23}