足利学校跡、草雲美術館

中世から長く続いた学校はここ

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参照(太平記A)

 下野国足利荘(しもつけのくに あしかがのしょう 現在の栃木県足利市一帯)には中世から近世まで存続した学校施設「足利学校跡」があり、国指定史跡になっている。もっとも官吏養成のための教育施設ならば、すでに奈良・平安時代から大宝律令に基づき国々には国学が、また中央には大学寮が設置されていたが、それらは平安後期に律令制の形骸化と共に衰微消滅した。

 

 これに対して足利学校は、官吏養成のような狭い目的を採らず、僧侶を中心に俗人をも含めて全国各地から訪れた学生を対象にして漢学を教えた。当校が日本最古の学校といわれる所以であろう。

 この学校の起源はまだ明確ではないが、平安から鎌倉時代初期ごろに発足した施設を、室町中期の15世紀前半に時の関東管領上杉憲実(のりざね 14101466)と憲忠父子が組織体制の整備や宋版の貴重な書籍の寄進などをして名実共に再興した。

 

 足利学校を現在の目で見れば、その内容はむしろ指導教官付の専門書の公共図書館のように思える。そこでは自学自習を主としながら、講義や研究指導も行っていたようだ。勉学期間もカリキュラムも一定せず各学生の要望に任せていたという。月謝は無料だった。

 

 本校はもっぱら漢学の研修、とりわけ易学(占い)の教育に特色を持ち、また兵学の研修も出来た。そのため戦国時代には世間の関心を集め、全国から研修者が参集した。しかし太平な江戸時代となれば、学校に求められる役割も自ずと変化したのであろう。

 

恐らく儒教研修へより重点を移したのだろうが、それでも時流の変化には追いつかず江戸末期には衰退し、維新直後の明治5年には閉鎖された。その後、建物の取り壊しが進み典籍も散逸しかけたが、それは勤皇画家田崎草雲など旧足利藩士の尽力によって辛うじて阻止された。旧遺跡図書館や収蔵庫には同校で使用した宋版の書籍が国宝や重要文化財として保管されている。

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 長い歴史を持った足利学校は近年の発掘調査によって建物群の全体像が明らかにされた。その結果によって平成2年に江戸中期の姿に復元された(写真1,2)。建物内には小規模だが同校の歴史が紹介されている。また孔子廟や門は破壊を免れたが、その廟前には日清・日露戦争で活躍した海軍の立役者たちが月桂樹を植えている。

 

 なお足利学校の隣に「鑁阿寺(ばんなじ)」という大寺がある。この古刹は源頼朝の従兄弟で、源頼朝の鎌倉幕府樹立にも功のあった足利義兼(?1199)が出家後の1196年邸内に持仏堂を建てたのに始まる。義兼は足利荘を本拠として北條政子の妹を室とし、その子孫も北條氏と婚姻関係を重ねて勢力を拡大して後世の足利幕府へ繋がってゆく。足利氏屋敷跡の堀や土塁が残るこの寺は国指定史跡であると共に、堂宇や多数の足利氏関係の古文書は重要文化財に指定されている。

 

 なお、ばんな寺の立春会に挙行される節分鎧年越しと追難式(ついなしき、豆まき)は有名だ。江戸後期から行われたこの行事は、約750年前に義兼の孫・足利泰氏(やすうじ)が旗下の坂東武者500騎をばんな寺南大門へ勢揃いさせて、一族の結束と勢力誇示を図った故事に由来するという。武者行列は今でも毎年盛大に行われる。

 

 ところで太平記の世界で大活躍した二人の武人がこの地方の出身だ。その一人は義兼の子孫の足利高氏(後の尊氏 130558)だが、もう一人は足利荘と渡良瀬川を挟んで対岸に当たる上野国新田荘(こうづけのくににったのしょう 現在の群馬県太田市あたり)出身の新田義貞(にったよしさだ 130138)である。

 

 二人は1333年、奇しくもほぼ同時に京と鎌倉へ反北條の軍を進め、ごく短時間に北條政権を打倒した。しかし彼らが協同したのも束の間、やがて敵対関係になり南北両朝に分かれて交戦を繰り返した。いわゆる太平記の世界の始まりだ。両者は戦場を変えながら勝敗を繰り返した。

 

新田義貞は足利氏より源氏の嫡流に近かったが、鎌倉・北條時代に冷遇されて家格も低く抑えられていたため、軍勢の動員力が劣った。それでも義貞は後醍醐帝の期待を受けて懸命に戦ったが、自分の一族でさえ十分に掌握できず、尊氏が最終的な勝利を握り足利幕府を開いた。

 

 補足だが足利学校から西方約2kmの渡良瀬川の近くに「草雲美術館」がある。ここには田崎草雲(181598)の南画や遺品を展示すると共に旧居や画室が保存されている。彼は足利藩下級藩士の家に生まれ、長じて絵画や和歌を学び足利藩の絵師になった。幕末には藩校の設立や民兵の組織化などにも活躍し、明治初期の画壇では指導的地位を占めた。

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(作成日 10/01/12、 更新日      )

 

(施設情報参考)名称_住所_電話番号_駅からの概算路線距離(駅からの概算方位と直線距離)・所要時間・公共交通_展示規模_対象_開館時間(受付終了時刻)_休館日_備考_{情報再確認日}開閉館時刻と休館日はよく変わるし、臨時休館もあるので、事前確認が賢明

 

史跡 足利学校_栃木県足利市昌平町2338_TEL 0284-41-2655_

JR両毛線足利駅から0.7km徒歩10(30degs.W 0.5km)

東武伊勢崎線足利市駅から1.1km15(35degs.E 0.9km)_小_大人_

(49)(9:00-17:00)(16:30)(103)(9:00-16:30)(16:00)_

第三月曜日(祝日・振替休日に当たれば開館し、翌日休館)12/2912/31、施設整備の休館あり_{09/12/12}

 

草雲美術館_栃木県緑町2-3768_TELFAX 0284-21-3808_

JR 両毛線足利駅から2.6km(80degs. 2.1km)、東武伊勢崎線足利市駅から2.3km(66degs. 1.5km)

いずれの駅からも足利市生活路線バスやまなみ号・せせらぎ号を利用し「通6丁目」下車後歩10分、タクシーもある_小_大人_

9:00-16:00_

月曜日、祝休日の翌日、年末年始、館内整理日_{10/01/10}