杉並アニメーションミュージアム、三鷹の森ジブリ美術館

アニメの歴史や制作法を知る

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 近年日本の漫画やアニメは国際的に知られ、世界の人々に愛好されている。これらの作品は日本で生れた知的生産物だから、物造りの面で日本製品の競争力が後発国の追い上げを受けて低下している現状では、その活躍ぶりは頼もしい限りだ。

 今では世界のアニメ市場の規模は8兆円に達しているそうだが、その大半が漫画好きの日本市場といわれ、アニメの大部分も日本で制作されていた。日本は作品の輸出によって多額の外貨を稼いでいるが、アニメ制作は何も日本のお家芸ではないから油断禁物だ。韓国やフランスあるいは中国もアニメ産業を国が助成し育成を図っているという。

 アニメとはアニメーション映画の略称で、一秒間に24コマの分解図をコマ撮りして動画のフィルムが作られる。テレビでは一話分が300〜400カットで構成されている。

 日本のアニメ制作は漫画映画として大正初期に始まった。それ以降長い間、制作作業はセルロイドの透明板へ、少しずつ変化する膨大な枚数の絵を描き、それをコマ撮りした。従ってその制作工程は多数の人々が連携する共同作業だった。

発火の危険性が大きいセルロイド板は、戦後より安全なプラスチック板に代わった。また描画の手間を省くため、関節のある人形を利用する人形アニメーション技法も使われるようになった。

 アニメはアニメスタジオで制作される。スタジオは概して小規模な事業所だから、住宅店舗混在地域などに立地している。全国に約430ヶ所あるスタジオの約8割が東京にあり、それも主としてJR中央線沿線に分布しているという。

従ってこの一帯は現在、世界有数のアニメ産業集積地帯であり、新しい地場産業を形成している。この地域にアニメ産業の集積が始まったのは昭和40年始めからで、以後互いに競いながら発展してきた。今では外国からの視察者も多いそうだ。

この地域の一角を占める杉並区にも約70ヶ所のスタジオが立地するという。同区ではアニメ産業の発展を積極的に支援している。地場産業の対象は何も伝統工芸品や食べ物ばかりとは限らない。

近年、アニメ制作にもコンピュータ・グラフックス技術が活用されている。平成17年現在、デジタル化もすでに完成の域にあるという。当然アニメスタジオの仕事内容も様変わりして、データ通信を利用した在宅勤務や海外発注が進んでいる。

従って過去に使った機材は不要になり散逸しつつある。杉並区は先年「日本のアニメを支えた技術」をテーマにした杉並アニメ資料館を設け、制作工程の諸資料や絵コンテ、線画台やフィルム編集機などを保管し展示していた。同時に文化遺産としてアニメ作品も系統的に収集していた。

しかし折角の施設も子供を含めた多くの人々が繰り返し来館するような魅力を持たせねば長続きしない。その辺の硬軟の兼ね合いは難しい問題だが、当館では展示面積を広げ内容を一新し、館名も「杉並アニメーションミュージアム」に改めて新装オープンした。

ここでは日本で作られた多数のアニメ作品を採り上げてアニメの歴史を解説し、その制作にかかわった人々の業績も紹介しようとしている。また来館者に作画体験をさせたり、作品上映などで楽しく学べる施設を目指している。だが多数の作品を紹介するにはまだまだ面積が狭い。

出来れば近い将来、多摩六都科学館のように、中央線沿線の自冶体が共同して大きなアニメ博物館を建設すれば国際的な観光スポットにもなるのではないか。そこでは小さな映写室や映像装置をいくつも設けて日本や外国の優れた多くの作品を常時視聴できるようにしたい。

また多くの作品の内容やその技術的特徴、及びその制作に貢献した人々の業績なども紹介する。さらに過去から現在までの制作技術の変遷も解説し、制作用資機材の保存展示も行い、キャラクターなど関係グッツやソフトの販売もすればよい。

さらに漫画やアニメの教室を開設して若い才能を発掘と養成も図りたい。さらに外国の作品を含めた定期的なコンペも開催し、アニメ界で国際的に知られる殿堂になればよい。日本は漫画やアニメの世界的中心なのだから、その位のことはやっても当然だ。何も非効率な公共事業に無駄金を投ずるばかりが能ではあるまい。

昨今はお堅い大学でさえ、アニメ関係の講座を開設する時代だ。杉並区でも人材育成のための教育機関設置の構想が進んでいる。小さな当館の狙いが今後十分に達せられるにはまだまだ検討の余地が多いように思うが、そのさきがけとしての役割に期待したい。

ところで当館から直線距離で約3.5km離れた井の頭公園の一角には「三鷹の森ジブリ美術館」がある。当館は三鷹市と徳間書房のスタジオジブリ事業本部の構想から生れた特異な美術館だ。アニメ界の巨匠・宮崎駿監督が館主になっている。

ここはアニメの世界を来館者に実感してもらうために造られた施設という。事実開設以来子供や若い女性に大変な人気で、現在でもチケットがなかなか手に入らない状態だ。外国人も多数来館して楽しそうに見ている。

しかし感性の衰えたシルバー世代には若い人々が楽しそうに見ていることが不思議に思える。年寄りでもアニメ映画は面白いのに、館内を巡る若い人々の興奮や感性を理解できないのが残念だ。通常の美術館の雰囲気を期待される方々にはやや迷宮的な施設だ。

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(作成日: 03/06/18、 更新日: 09/02/27)

 

(施設情報参考)名称_住所_電話番号_駅からの概算路線距離(駅からの概略方位と直線距離)・所要時間・バス_展示規模_対象_開館時間(受付終了時刻)_休館日_備考_{施設情報確認日}開閉館時間と休館日はよく変るし臨時休館もある。事前確認が賢明

 

杉並アニメーションミュージアム_東京都杉並区上荻 3-29-5 杉並会館3階_TEL 03-3396-1510_

a)JR中央線・東京メトロ丸ノ内線荻窪駅から1.5km(65deg.W 1.2km)徒歩20分、

b)荻窪駅北口より関東バス0番及び1番乗り場から各系統のバスに乗り約5分「荻窪警察署前」下車そば_

c)他にJR中央線西荻窪駅北口や西武新宿線上井草駅からのバスもある。同上「荻窪警察署前」下車

専用駐車場はない。周辺にコインパーキングあり_小_大人子供_

10:00-18:00(17:30)_

月曜日(祝休日に当たる場合は開館し、その翌日休館)12/281/4、臨休あり_{17/05/02}

 

三鷹の森ジブリ美術館_東京都三鷹市下連雀1-1-83 都立井の頭公園西園内_ご案内ダイヤル 0570-055777(9:00-18:00 開館日だけ受付ける) _

a)JR中央線三鷹駅南口から玉川上水沿いの散歩道・風の道を歩いて1.3km 17(54degs.E 1.2km)

b)三鷹駅南口から三鷹市コミュニティバスのジブリ美術館行きが大体10分おきに運行している。

c)JR吉祥寺駅からも大体同じ距離だが、混雑していて歩きにくいし分りにくい。_

駐車場 なし_中 _大人子供_

10:00-18:00

(ただし当館は日時指定の予約制を採用しているから、予約なしでは入館できない。また入場時刻は一日四回で、指定時刻の30分後までに入館せねばならない。ただし入ってしまえば入れ替わり制ではないから閉館時刻まで観覧できる。)_

火曜日(ただし1/03, 3/21, 5/02, 7/25, 8/15, 12/26などが火曜日に当れば開館する)

展示替え期間(17/05/155/26)、メンテナンス期間(17/11/0711/17)、年末年始(12/271/02)_

カフェーあり_{17/05/02}

 

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