下諏訪町立諏訪湖博物館・赤彦記念館

冬の厳しい盆地の湖と暮らす

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参照(諏訪湖B)  

 中部日本のど真ん中にある諏訪湖。その湖畔に「下諏訪町立諏訪湖博物館・赤彦記念館」が建っている。当館はその名のとおり、諏訪湖と人々のくらしについて、及びアララギ派の代表的な歌人・島木赤彦(しまき・あかひこ)の資料を公開している。

 諏訪湖の湖面は標高756メートルの高地にあり、冬は全面結氷して御神渡(おみわたり)という現象が起こる。この現象は零下10度以下の気温が連日続く寒い地方の湖にはごく普通に見られるそうだが、その発生の機序は次のとおりだ。

 全面結氷した氷は夜半から早朝の低温によって収縮する。これによって湖面中央部に引張り力が働いて氷に亀裂を生じる。次いで氷の重さで割れ目から内部の水がしみ出し、寒気に触れて凍り付く。日が昇ると氷が膨張するが、割れ目にできた新しい氷の分だけ余分になり、膨張圧力の逃げ場がないから割れ目部分がせり上がる。この一連の現象にはバリバリ・ドドッと雷鳴のような大きな音を伴う。

 諏訪湖の御神渡が特に有名なのは諏訪神社の神事と結び付いているからだ。その記録は1397年以来、御渡帳(みわたりちょう)に記録され、その間の気象変動の研究に役立っている。近年は気候温暖化の影響で湖岸の結氷が甘く、この現象もさっぱりだという。なお御神渡に関しては諏訪市博物館にも紹介されている。

 結氷した湖上ではスケートが盛んに行われるから、当館には各種のスケート靴や下駄スケートが展示されている。また昔は氷の用途がほかにもあった。中央東線は明治38年に岡谷まで開通したが、その年から昭和30年までは、湖の氷を切出して東京へ出荷していた。最盛期には一日当たり400人の氷切り人夫を動員して半月間も作業をする盛況だった。

 諏訪湖はあまり大きくないから、流入する河川の土砂で急速に埋められている。今では最深部でも7メートルしかない浅い老齢湖だ。現在、湖岸から800メートルも陸地に入った所にある高島城址は、桃山時代には湖岸に突き出した浮城だった。流入土砂で湿地化した所を干拓したため陸上にかなり入ってしまった。

 老年期の湖の常として、諏訪湖は富栄養湖で、魚がたくさんいる。当館はその独特な漁法の紹介もしている。ワカサギの穴釣りは冬の風物詩としてよく知られるが、冬ごもりする魚をとるやつか漁、名産のうなぎの流し針漁、そのほか掻き具漁・えび押網漁・さし網漁・投網漁などと色々な漁法が行なわれる。

 一方、当館は赤彦記念館でもある。歌人の島木赤彦(1876-1926)は当地出身で、館内には彼の色紙・手紙・歌集・愛用品などを展示して、その生涯と業績を紹介している。彼はアララギ派の代表的歌人として写生主義をとり、万葉調を尊重した多数の歌を残した。前期の秀歌では「霧ヶ峰のぼりつくせば目の前に 草野ひらけて花さきつづく」。

 また彼自身の歌論では、歌作は全身を集中し行うもので、その表現には苦心を凝らす必要があると、作歌に対して厳格な考え方を採っている。また和歌は「寂寞所に澄み入る」境地を目標とした。その意味は素人にはよく分からないから、彼の和歌をよく味わって推測するしかない。

 彼が晩年住んでいた柿蔭山房(しいんさんぼう)は幕末の建物で、当館の近くに保存されている。従って諏訪湖の風景を詠んだ歌も当然多い。中でも「湖の氷はとけてなほさむし 三日月の影波にうつろふ」は人々に好まれる。「障子には湖水の夕日照りかへり 甚だ寒く明るくなりぬ」。もう一首秀歌を挙げれば「夕焼雲焦げきはまれる下にして 氷らんとする湖の静けさ」。

 また晩年の秀歌の一つに「信濃路はいつ春にならむ夕づく 日入りてしまらく黄なる空のいろ」では寂寞感に柔らかさを加えたと評されている。これらをよく鑑賞すれば、彼の唱えた寂寞所に澄み入るの意味がおぼろげながらも分るような気がする。

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(作成日: 01/01/13、 更新日: )

 

(施設情報参考)名称_住所_電話番号_駅からの概算路線距離(駅からの概略方位と直線距離)・所要時間・バス_展示規模_対象_開館時間(受付終了時刻)_休館日_備考_{施設情報確認日}開閉館時間と休館日はよく変るし臨時休館もある。事前確認が賢明

 

下諏訪町立諏訪湖博物館・赤彦記念館_長野県諏訪郡下諏訪町 10616-111_TEL 0266-27-1627_

(a)JR中央本線下諏訪駅から1.8km(70deg.E 1.5km)徒歩24分、タクシーあり

(b)下諏訪駅から町営バスあざみ号「循環線高木方面」を利用し、「諏訪湖博物館・赤彦記念館」バス停下車。その他のバスも利用できる。

(c)JR中央本線上諏訪駅からのバスの便やタクシーが利用できる。_中_大人_

9:00-17:00(16:30)_

曜日(月曜日が祝日に当たる場合は開館し、翌火曜日休館)、祝休日の翌日、12/281/4_{17/04/30}