メダル列島  >  オリジナルメダルへの道

  • スタンプメダル収集家の夢
  • デザインの流れ
  • デザインの選定
  • デザイン画の作成
  • 実物の画像
  • 販売について
  • 最後に


  • スタンプメダル収集家の夢

    思えば私がスタンプメダルを集め始めてから30年近く経ちました(2004年現在)。 集めはじめた頃から、3つの夢がありました。

    1.全部集めたい
    2.他のコレクターと知り合いたい
    3.自分でスタンプメダルを作りたい

    近年に至り、サーチエンジン、HP等の手段で情報の入手も可能となりましたが以前はどこに行けば入手が可能なのか、何というメーカーで作られているのかさえ分からない、知らない状態での収集でした。 お城、展望タワー、博覧会等と売られている事を期待して出かける事もありましたが、それでも必ず入手出来るとは限らないのでスタンプメダルを入手しに出かけるのではなくて観光に行ったついでに探すという収集の仕方でした。 今は茶平工業のHPで販売場所が分かっているのでスタンプメダルを買いに行ったついでに観光するという以前とは全く逆のパターンになりつつあります。
    販売場所が分かっているから全部集めるという夢は一見近づいたかのように思えましたが逆に非常に困難だという事も気付かされました。無理せずに集めていこうという事で今のところは納得しています。

    他のコレクターともHP上のバーチャルな関係ですが、知り合いになれました。お互いのコレクションを見せ合う事も、HPで簡単に行えるようにもなりました。私の場合、登録までの作業が面倒なので公開がかなり滞ってしまっている事は否めませんが。

    最後の夢ですが、これが現在進行中です(2004年12月現在)。
    今は茶平工業の存在も分かり、オリジナルでメダルを作る場合について以前に相談させてもらった事もありました。その時は、金型の値段がかなりするので断念してしまいました。
    非常に甘い考えですが、メダルを販売すれば金型代もペイ出来るかなと考えてとりあえずオリジナルのメダルを作ってみることにしました。


  • デザインの流れ

    オリジナルメダルを作る上での作業を茶平工業に確認しました。

    1.デザイン画はアドビ、イラストレータにて作成
    2.デザイン画は最小線幅など加工精度を守る
    3.デザインの立体感、梨地加工部分等が判別出来るようにする

    大きくはこれらがデザイン画を作る上での制約となりました。
    その後の流れとしては

    1.何をモチーフにするのかの選定
    2.モチーフの絵や画像を用意
    3.絵や画像を下絵として、イラストレータで線のトレース
    4.面を構成し深さや表面加工の違いなどを着色して区分け
    5.デザイン画の提出

    とすすみました。
    一番の悩みどころとしては、やはり何をモチーフとするかでした。
    スタンプモデルによく用いられている物には城や塔(タワー)があります。 これらは、所持者がいるので勝手にデザインに使えません。
    最近増えているキャラクター物についても当然の事ながら著作権に抵触するので自由には使えませんし、自分でキャラクターを作るとなると相応の才能も必要で少なくとも私には難しいです。
    これも最近増えてますがキャラクターっぽい動物等の絵、これは動物園や水族館なら意図として分かりますがオリジナルで作る物としては余り意味の無い物となります。
    他にも、我が家の外観、家族のイベントを記念して等も考えられましたがこれだとあまりにプライベートすぎて全く売れないという懸念もありましたのでこれも断念しました。
    結局はイメージしていた数案の題材から選ぶ事ができたので、著作権の無い絵と風景をモチーフとすると決めました。


  • デザインの選定

    題材は比較的すんなりと決めることが出来ました。 表を浮世絵からの抜粋とし、裏面は浮世絵と同じ場所の現在の風景です。
    浮世絵から抜粋する部分を選定しました。浮世絵は通常は長方形で描かれているのに対しメダルは円形です。 浮世絵を全て入れてしまうと、図案が非常に小さくてインパクトに欠ける物となるのと長方形の外側が無駄なスペースとなってしまいます。 浮世絵をイラストレータに下絵として取り込み、メダルを表す円を動かしそれだけで絵として成立する箇所、シンプルながらもインパクトのある箇所を選定しました。 もちろん現在の風景の事も合わせて考えました。
    現在の風景も、切り出した浮世絵のイメージを重視し、何度も現地に足を運んでデジカメで撮影しては検討するという作業を繰り返しました。 デジカメで撮る時はそれなりに構図を意識したつもりでしたが、ディスプレイで大きく表示した時に微妙な角度や奥行き等が気になり何度も撮り直しようやく納得出来る物も撮影できました。


  • デザイン画の作成

    下絵をイレストレータに読み込みました。安藤(歌川)広重の「東海道五十三次 戸塚元町別道」を使いました。
    円内をメダル図柄として決めました。地名の字体も配置を変更して使いました。

    浮世絵,戸塚,東海道五十三次,メダル,medal

    裏面は、浮世絵に描かれた場所の現在の状況です。橋のデザインとは無関係なガードレールと信号機の柱は描きませんでした。
    また、マンションや家なども橋とは無関係でしたので輪郭のみを描きました。
    実写,吉田大橋,メダル,medal

    後はひたすら、イラストレータを駆使して(実際は苦使?)円内の線をトレースし色付けを行ないました。

    出来上がった、デザイン画が下記です。 カラーで彫りの深さの違いを表現しています。 実物は、これを元に金型の彫刻を行なうので微妙な表現は異なってくる事となります。 この辺りは、下絵も同時に渡してニュアンスを伝えることでカバーしました。


    戸塚,表面デザイン,メダル,medal 戸塚,裏面デザイン,メダル,medal 戸塚,彫深さ,メダル,medal
    表面裏面彫りの深さ


  • 実物の画像

    このようになりました。デザイン画を非常に良く再現されています。

    戸塚,メダル,medal 戸塚,メダル,medal
    表面裏面

    実際には、デザイン画を提出後に何度か微修正を行いました。
    最終デザイン画を提出し終えて金型が出来た後にサンプルのメダルを受け取りました。微妙なニュアンスの違い等が数箇所あったのでその部分の手直しの指示等を行い再度のサンプル受け取りました。問題が無いことを確認してから量産の指示を行いました。
    現物を見るとデザイン画が非常に良く再現されているのが良く分かります。
    デザインした本人にしか分からないような箇所ですが、表面の橋の欄干、人物の表情と着衣、道標の文字、灯篭、裏面の欄干や街灯は加工精度ギリギリのところもあったのですが非常に繊細な加工によりデザイン画が反映されています。始めて見た時にはよくここまで再現出来た物だと関心してしまいました。


  • 販売について

    通販終了しました。多くの方にご購入いただきありがとうございました。

    スタンプメダルの性格上、現地(横浜市戸塚区の吉田大橋、もしくはJR戸塚駅近辺)での手売りが望ましいです。
    ただ、通信販売のリクエストもありましたので通信販売を開始いたしました。ちょっと条件を付けさせていただきましたのでそれでもという方はお申込ください。
    値段は金、銀とも1枚900円です。1枚毎に丸ケースが1個付きます。細かな明細をお知らせする事は控えさせていただきますが、ほぼ原価通りの値段です。もっと量産すれば単価を下げる事が出来ましたが売れるかどうか分からないのでこの枚数でとどめました。
    購入を希望される方はこちらにそってメールにてご相談ください。
    発行枚数は金100枚、銀100枚です販売枚数は若干の取り置き分を除いた枚数となっております。作成が遅れたせいですが2004年が開宿400周年でしたのでこれ以上の追加発行は行いません。没メダル等を除くと最も少ない発行枚数のメダルだと思います。希少価値も高いのでこの機会に是非お求めください。
    #現在、金型を自宅に引き取りましたのでデザイン変更での追加発行は全く考えてません。

    2014年12月31日現在の販売可能残数:金0枚、銀0枚


  • 最後に

    こんな無茶な野望に快諾していただき、またデザインのお渡しを長々とお待ちいただけました茶平工業さまには大変感謝しております。 これで積年の夢が現実の物となりました。

    今回、始めからメダルのデザインを行う事で改めてスタンプメダルの良さを実感しました。 以前は、絵柄で何が描かれているとか構図等は鑑賞(?)してましたが細部の加工までは良く見て無かったように思います。 それが、デザインを行った事で細部の加工の状態にまで目が行くようになり、作られた時にどのような効果を期待してデザインしたり表面加工をしたのか等が感じ取れるようになりました。 改めてコレクションを見直すとデザインの素晴らしさをより深く理解できました。

    オリジナルメダルは第2段、第3段と…。という事は今はさすがに考えてませんがまた機会があったらチャレンジしてみようかと思います。

    掲載:2005年3月